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2011年02月20日

「レジン」の代用に! 不飽和ポリエステル樹脂の まとめ。

パーツを樹脂で制作
▲量産したパーツの例。 → 注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!

オリジナルの、同じ形状の部品を、いくつか欲しい時、プラスチックを流しこんでパーツを作る手法があります。

「注型」という製法で、「メス型」さえあれば、同じ部品をいくらでも作れる便利な方法です。

今回は、この手法に使う、プラスチックのお話。
僕が工作によく利用する素材を紹介します。

個人的なノウハウですが、こういったワザを知っておくと、いろいろと工作の幅が広がると思うので、公開しておきますね。


注型で使われる「レジン」と、その代用品


エポキシレジン通常、型を使って同じ部品を作る「注型」という工作には「レジン」というエポキシ系の素材がよく利用されます。

専用品なので、精度の良い、高透明なパーツを作ることができます。


レジンで作ったポジションランプが、この「レジン」。

なかなか高価なので、ちょっとした工作に使うのは勿体無い感じです。

左は、自動車のボジションランプをLEDで作った写真ですが、新品レジンの封を開けるのに、勇気がいったなぁ(笑)。
→ LEDポジションランプ


その点、FRP用の樹脂は、安くて手に入りやすいので、気軽に使えます。

これは不飽和ポリエステル樹脂と呼ばれ、ホームセンターで安く簡単に入手できます。
本来は積層用ですが、注型にも転用可能です。

今回はこの、不飽和ポリエステル樹脂が、いろいろな工作に便利ですよ! という情報。

工作とは失敗する事も多いので、気軽に使える素材ってのは大切だと思います。


不飽和ポリエステル樹脂って何?


これ、バイクのカウルや漁船、サーフボード等を作るときに使う、積層用の樹脂です。
FRPって聞いたことがあると思いますが、アレに使うやつ。

ファイバーラミネートプラスチック Fiber Reinforced Plastics ( FRP ) の文字通り、ガラス繊維を積層し、この不飽和ポリエステル樹脂で固めると、各種製品になるんです。


様々なFRP樹脂この樹脂は、大きなホームセンターなら、だいたい取り扱っています。

ポピュラーな漁船用なら、1リットルで千円~程度。
透明(青や赤に着色されている事が多いです)の他、白色タイプも売られています。

漁船等にも使われている通り、耐久性は十分です。(トラックの荷台やキャンピングカー等にも利用されていますね)

ただし、透明タイプはペンキ等で表面を保護してやらないと、紫外線で劣化してしまいます。次第に黄ばんで、強度が低下する場合も‥。

その点、サーフボード用の製品なら、紫外線吸収剤が入っていて劣化しにくい他、透明度も高いので、僕は主にこのタイプを利用しています。


難点は、製品精度の問題。

積層用の用途向けなので、固まるときに「肉やせ」といって、数%の体積が減少します。工作の際は、それを見越して設計する必要があります。

注:専門店なら、FRPの型作り用に、特に寸法安定性を高めた製品も入手可能です。


いろんなパーツが作れちゃう


型を作って、パーツを量産。コンセントの配線部分を固めるのに樹脂を使用
▲左:型を作って、パーツを量産。 / 右:コンセントの配線部分を固めるのに樹脂を使用。

最近作ったパーツでは、天井用ダウンライトのヒンジ部分。
中途半端なサイズなので、プラスチックから削り出しで作るのも、鉄やアルミで作るのも面倒です。

型を作って量産すれば、簡単でした。

充電器のコンセント部分の制作にも使ってみました。
→ 邪魔な充電器の「めがねコード」を小型化!

樹脂で電子機器の回路の充填その他、電子機器の回路の充填用にも、いいですね。

→ 高演色作業灯の作り方(電球型用インバーター使用 色の道Ⅵ) 

「レジン」の代用に! 不飽和ポリエステル樹脂の まとめ。そうそう、硬化剤の量の測り方についても、過去に書いたので、ぜひ参考にして下さい。
→ 硬化剤 …その一滴の重さ



「レジン」の代用に! 不飽和ポリエステル樹脂の まとめ。追記:研磨機に、水研ぎ用の水タンクを付ける方法! (1)

石材用研磨機に取り付けるため、オリジナル形状で、ペットボトルのキャップを自作しました。


透明度について


不飽和ポリエステル樹脂を流し込みキーボードの手前にかざしたところ
▲左:アクリル板の間に、不飽和ポリエステル樹脂を流し込みます。 / 右:キーボードの手前にかざしたところ。

気になる透明度ですが、サーフボード用や、高透明タイプとして売られている物なら、ほぼ無色透明です。

写真はサーフボード用ですが、3ミリの厚さ程度では、アクリルとほぼ同等な感じです。
(2011 3/3追記:サーフボード用でも、青に着色されている製品がありました。ごめんなさい!)

僕が良く使うショップはFRP-Zoneさん。
サーフボード用は、完全な透明です。 もう少し厚みが必要な場合は、内部の濁りというか光の屈折等の点で、高透明タイプの別商品の方が優れていると、お店の人に教えて頂いた覚えがあります。 


FRP樹脂の着色について


僕は仕事がら、様々な着色料を扱いますが、プロ向けの製品でなくても、身近なものでFRP樹脂に着色ができます。

使用するのは、なんと「水性のアクリル絵の具」。 または「油性絵の具」(2011 10/10追記)。
100円ショップの物でOKです。

樹脂に絵の具を混合着色した樹脂
▲左:樹脂に絵の具を混合。 今回は漁船用の白色樹脂を使用。/ 右:固まった着色樹脂。

混合率は10%以下。
あまり絵の具が多いと、硬化が遅くなる他、樹脂の粘度が増して流れにくくなります。(なお、時間はかかっても、完全硬化後はカチカチに固まります。油性絵の具は、表面にベタつきが出ますが、シンナー等で拭き取るとキレイになります。)


色あい、彩度については、プロ用の着色料には及ばないかな‥。
完全には混ざらず、色の粒子が散らばる感じ。 それでも、全体としては着色できた感じに仕上がります。

なので、重要な箇所には、他の方法で着色して下さい。
(油性絵の具は、かなりキレイに混ざります。 2011 10/10追記)

ていうか、普通は上からペイントするでしょうし、強度的にも、そっちがお勧めです。

業務用の着色料を使ったチップ
▲業務用の着色料を使ったチップ。
 → 色の道 暴露試験(ばくろしけん)


樹脂の発熱について (後日追記)


上記で説明している一般的なFRP用樹脂だと、硬化が早いぶん、熱が内部に溜ります。

そのため、注型に利用した場合、厚みが5~7ミリを超える形状だと、硬化時に高熱を発して変色したり、煙が出たり、入れ物を溶かす恐れがあります。 

なるべく硬化時間の遅いタイプの方が、注型時は安心です。
 ⇒ FRP用樹脂の硬化時間(実験編)

ちなみに、カインズホームセンター(最近、沖縄にも出来ました)には、注型用の透明ポリエステル樹脂が売られています。
試してみると、硬化に1日以上かかりますが、ある程度の厚みが有っても、熱的に大丈夫なようです。

個人的には、硬化が遅すぎるので、他の樹脂と混ぜて、時間や温度を調整して使ってます。
厚みの有るものが作れると、工作の幅が広がりますね。




というわけで、今回はちょっとした個人的ノウハウの公開でした。

次は、この不飽和ポリエステル樹脂を使った、プラスチックパーツ制作のお話を書く予定です。
 ⇒ 注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!





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この記事へのコメント
もう30年ほど前に、FRPで新案特許を取り、作品を作っています。ポリエステルに着色しながら使うのですが、油絵の絵の具を使ってもOKですよ。
私のHPに作品が載っていますので、ご覧下さい。
Posted by 三嶋眞人 at 2011年10月09日 16:34
三嶋眞人さん 情報ありがとうございます!

早速、テストしてみて、現在24時間経過。 パッチリ固まっています。

以前試した時、ナゼか失敗と思って、以来、水性絵の具を使ってました。
(普段は業務用の顔料しか扱っていませんので‥ → http://ok-repair.com/)

粉っぽさも少ないですし、いいですね!

作品の方も、拝見させて頂きました。
樹脂を使って、これほど多彩な表現が出来るんですね。 勉強になります。
Posted by IGUIGU at 2011年10月10日 19:50
初めまして、3年も前の記事にコメントするのもどうかと思ったんですが、FRPの説明が間違っていたのでお知らせします。

誤 ファイバーラミネートプラスチック
正 ファイバーレインフォースドプラスチック

失礼いたしました。
Posted by 通りすがり at 2014年12月09日 09:16
コメントありがとうございます!

さっそく、直しておきました。 
頭の中の事をそのまま書いてるので、間違って覚えてると恥ずかしい事になりますね。 
今後は、なるべく確認するようにします。
Posted by IGUIGU at 2014年12月09日 14:21
こんにちは。

検索からこちらのブログにお邪魔しました。

質問なのですが、こちらの不飽和ポリエステル樹脂をつかって、
プラスチックの指輪を作ることは可能でしょうか。

ご返信いただけますと幸いです。
Posted by さの at 2015年06月25日 12:30
精密な造形のコピーは難しいと思います。

この記事を書いた時、なぜか漏れてしまったのですが、ポリエステル樹脂はシリコンやお湯丸等の柔らかい型枠では、注型しても失敗します。
(表面にネチャネチャが残ります)

この件、時間を見て本文に追記しておきます。
Posted by IGUIGU at 2015年06月25日 13:08
ご返信、ありがとうございます!

もし、指輪やアクセサリー作りに向くプラスチック素材など見つけた時は
共有頂けますと幸いです。
Posted by さの at 2015年06月25日 15:32
はじめまして。
もしよかったらお教えいただけないでしょうか?
FRPボートにボートドーリ取付に際し少し角度のついたスペーサーを作ろうと思っています。

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イメージ的にはちょっと角度が付きすぎてしまったのですが、
本来はA40mm、B25mm、C70mm、辺AD間が80° 

こんな形の330mmLの角棒を作りたいのですが、

樹脂の流し込み成型は適していますでしょうか?
はたまた、無理がありますでしょうか?

もしよろしければご教授のほど、よろしくお願い致します。
Posted by しんや at 2018年08月27日 19:15
FRPはガラス繊維などを樹脂で固めることで成り立ってますので、樹脂のみでは、強度が全然ありません。目的が文面からはよく分からないですが、強度が必要な部品でしたら流し込みは止めたほうが良いかと思います。
Posted by IGU at 2018年09月03日 21:02
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