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2023年03月19日

「大粒」カリカリ梅の作り方 (1年経ってもカリカリ!)

「大粒」カリカリ梅の作り方 (1年経ってもカリカリ!)
出し惜しみせず、最初に書いておきます。


一番簡単なカリカリ梅の作り方は

「青い小梅を、卵のカラと一緒に漬け込む」

方法です。

ですが、この方法では小粒の梅はカリカリ梅にできても、大粒ではうまくいきません。

今回は大粒の梅を、押しつぶしたり種を取ったりせずに、丸のままカリカリ梅にできる方法を紹介します。
また定番の10%の塩分ではしょっぱすぎますが、その改善方法も見つけました。

そこに至る経緯も書いていきますね





「大粒」カリカリ梅の作り方 (1年経ってもカリカリ!)このブログの過去の記事でカリカリ梅の作り方を紹介したことがあります。
2010年の4月に書いたエントリーで、累計33万PVと35件のコメントが付いた人気記事。
カリカリ梅 漬け込み中!(作り方)

記事では小粒の梅を使い成功した話を書いてます。

その後、大粒のカリカリ梅を作れないか、個人的に試行錯誤を続けて来ました。
ところが、何回作っても、数週間でぶよっと柔らかくなって、歯ごたえも失ってしまいます‥。
結論として、大粒の青梅では、ただ卵のカラと一緒に漬けただけではカリカリに仕上がりません。

‥なので、上記の記事の方法は小梅限定のレシピです。


大粒の青梅で作りたいのに上手く行かず、ここ何年かは諦めていたのですが、ふと、カリカリしない原因に思い当たりました!


カリカリ梅作りの、おさらい


先に、前回のブログで紹介した、小さな梅だと成功するカリカリ梅の作り方を書いておきます。

小粒のカリカリ梅ざっくり書くと、材料は

・新鮮な青い小梅
・梅の10%の量の塩、
・卵のカラ(砕いてお茶パックに入れておく)


これらを密閉できる容器に入れて保存すれば2週間ほどで完成です。

かんたん!


カリカリにならない原因とは!?


小粒のカリカリ梅なら上記の方法で作れるのですが、大粒だと失敗してしまう‥。

原因を考えてみます。

ひとつは鮮度の問題。
産地の福岡や和歌山で収穫された青梅が、スーパーに並ぶまで2~4日はかかるでしょうから、沖縄では鮮度が落ちた梅しか手に入りません。
(沖縄産の梅も稀に有るのですが、なかなか手に入らない上、中粒で種が大きいのばかりです)

もうひとつは、カルシウムが効いていない可能性。

カリカリ梅作りの仕組みとしてカルシウムの役割があります。
→ 梅の果肉に含まれるペクチンの働きで実が柔らかくなるのを、カルシウムが阻害するから硬いまま保存できる。


とすると、失敗したのは、カルシウムが働いてないから?

つまり、青梅と卵のカラを同時投入しているので、卵のカラからカルシウムが溶け出す以前に青梅が漬かってしまった事が考えられます。

直感ですが、多分コレで正解です。

小粒の梅なら、梅自体が硬いのと、サイズが小さいために、後から溶け出たカルシウムが浸透しやすいから成功してたのかなと。


大粒のカリカリ梅つくりを成功させる方法とは?


カルシウムを酢に溶かした実験用の溶液。

ここは沖縄なので梅の鮮度は期待できませんが、上記の仮説から漬け液の中に最初からカルシウムが溶けていれば、成功しそうな気がします。

まぁ、市販のカリカリ梅の素を買えば早いのですが、沖縄では売ってません。

そこで、カルシウム入りの漬け液を自作してみます。

2022年は、この方法でいろいろ試してみました。


実験1 卵のカラでカリカリ梅の漬け液を自作する


卵のカラをミキサーで粉砕酢に卵のカラを溶かした漬け液


小粒の梅は卵のカラで成功したので、材料としては同じで良いでしょう。

次に考えるのは、何にカルシウムを溶かし込むか?

水では腐りそうだし、お酒は違うよなー。
そういえば梅酢というし、梅に酢は相性が良いだろうと考えて、お酢に浸けてみることにします。

目安として1kgの青梅に対し、卵のカラを2個分というレシピがすでに有るので踏襲します。(後の実験で、一個でも十分かと思われます)

今回は卵のカラ2個ぶんをミキサーで粉砕してから、100ccのお酢に入れてみました。
※余計なタンパク質を残さないよう、丁寧に内側の卵膜を剥がして、レンジでチンしてから指に水を付けて擦り洗いします。

酢の投入後は、かなりガスと泡が出ます。カルシウムが酢に溶ける反応でしょうか。

冷蔵庫に入れて時々シェイク。 一週間程度でカルシウムが溶け込み、ガスは収まっていきます。


実験2 市販のカルシウム錠剤で漬け液を作る


カルシウムの錠剤をミキサーで粉砕カルシウムに酢を投入


上記の方法は卵のカラを使うので衛生面とか気にする人もいるでしょう。なので別なオプションです。
カルシウムの錠剤を代用してみます。

どちらの方法でも、要はカルシウムが溶け込んだ液を作れれば良いのです。

薬局で入手した錠剤は1日分の6粒で500mgのカルシウムが摂れるものでした。
基準が分からないので、とりあえず2000mgを目処に、4日分の24粒をミキサーで粉砕します。

見た目よりは柔らかく、卵のカラよりも短時間で粉末にできました。

こちらも同じように100ccの酢に溶かしておきます。



なお、実験で他に5倍酢に漬けたものや、カルシウム・パウダーの直接投入も試してます。
2022年は、全部で5パターンの漬け方を試しました。


注意! 自作の漬け液は冷蔵庫へ


カルシウム液のPhを測定。ところで、上記のように作ったカルシウム液は、どのくらい保存できるのでしょうか?

試験紙で調べてみるとpHは6程度で、ほぼ中性。水と同じくらいです。
酢の強酸性から来る殺菌力は、まったく期待できないので、常温では腐る可能性が有ります。

カリカリ梅つくりに使うまで、必ず冷蔵庫での保管が必要です。
時期も、梅を入手する1週間前程度に仕込むのが良さそうです。

10%の塩を入れておけば、少しは安心でしょうか。


青梅をカルシウム液と塩で漬ける


ここから実際に新鮮な青梅を買ってきての漬け込みになります。
写真で解説します。

コーヒーフィルターでカルシウム液を濾す。カルシウム液を青梅に投入。


まず、コーヒーフィルターで卵のカラの酢漬け液を濾します。

時間がかかるので数時間は放置。


大粒カリカリ梅のレシピは次の通り。
・大粒の青梅  1kg
・塩        100g
・泡盛      100cc
・カルシウム酢液 100cc 

梅が早く塩やカルシウム液に浸かるよう、焼酎でかさを増してます。
これはお酢で良かったかもしれません。

ただあまり漬け液を増やすと全体の塩分量に問題がおきます。
今回は漬け液にも塩を入れて塩分濃度を調整しています。(レシピの分量外で10g追加)

同じ理由で、普通に容器に漬けるのではなく、ビニール袋に入れ空気を抜いて漬かりやすくしています。

カリカリ梅の塩分量は10%と、普通の梅干し(15%~)より低いので、変質を避けるために冷蔵庫保存が基本です。

カルシウム粉末を直接投入のテスト梅のビニール漬け
▲左:カルシウム錠剤の粉末を青梅と塩に直接投入の実験 / 右:早く漬かるよう、空気を抜いたビニール漬け。(必ず破けて漏れるので2重3重またはポリ容器を推奨)

※カルシウム・パウダー直接投入のバージョンは、梅に白い粉が固着してカビのように見た目が悪くなりました。


大粒カリカリ梅が完成! (‥漬けて一ヶ月後)



大粒のカリカリ梅。カリカリ梅を切り分け
▲左:漬け上がったカリカリ梅。赤いのは赤紫蘇を入れたもの。 / 右:種をよけてみじん切り。

手作りのカリカリ梅は、だいたい2週間ほどで食べられると言われてます。

一ヶ月後に仕上がりを確認すると、どのパターンも成功で、ちょっとシワシワしてますが十分に固く仕上がってます。カリカリ梅、成功!

しかし食べてみると、しょっぱーい!


カリカリ梅のおにぎり

カリカリ梅の基本の10%の塩分だと、実はむちゃくちゃ しょっぱいです。

おにぎりに入れるとちょうどよい味付けになるのが救いだけれど、梅しばのように、個別におやつ代わりには食べられません。
夏場に塩分補給用に持ち出すのがせいぜいです。

ていうか、5kgも漬けちゃったよ。
どうすんだよ、俺‥orz


かくして冷蔵庫の野菜室の奥で、大量のカリカリ梅たちは眠り続けることに‥。



‥漬けて9ヶ月後。(冷蔵庫で保存したカリカリ梅の活用)



冷蔵庫の野菜室に眠るカリカリ梅あれから(2022年5月)、手を付けることもなく、カリカリ梅はずっと冷蔵庫で寝ていましたが、2023年の2月に入って、ふと夜中に思いつきました。

市販の「はちみつ梅」とかって、普通の手順で漬けた梅干しを塩抜きして、改めて味付けする製法だったよなと。

ならば冷蔵庫に死蔵してるカリカリ梅を復活できるかも!

思い立った深夜に、さっそくカリカリ梅を水で戻しはじめてみました。



カリカリ梅の塩抜き&味付け方法!


「大粒」カリカリ梅の作り方 (1年経ってもカリカリ!)

深夜の思いつきなので、とりあえず呼び塩として約1.5%の塩水を作って、そこに適当に酢も入れて、1kgの梅を放り込みました。

当時のTwitter 

翌日、仕事から帰ってみると、シワっとしていたカリカリ梅が、ふくふくにシワが伸びて表面に張りが出てます。何だかおいしそうに膨らんだのは誤算で、ちょっと嬉しいかも。

塩漬けのカリカリ梅ふくふくの大粒カリカリ梅
▲左:塩漬けのカリカリ梅 / 右:塩抜きしたカリカリ梅


齧ってみると、カリカリという歯ごたえも良く、顔をしかめる塩っぱさもありません。
いいじゃんコレ!

ただし、何だか梅の味も薄くなったような‥。


そこで今度は味付けを考えてみました。
はちみつ梅とかと同じで、素材に後から味を足すという方法論です。


自作の「おやつカリカリ梅」完成! そして、さらなる改善へ!


1キロの戻したカリカリ梅をいくつかに分け、一つは醤油と酢。
もう半分は冷蔵庫にあった、しそ梅のチューブと酢で漬け直してみます。

カリカリ梅の味付け 醤油と酢のバージョンカリカリ梅の味付け 梅チューブと酢のバージョン
▲左:カリカリ梅の味付け 酢150cc/醤油50cc / 右:酢150cc/しそ梅チューブ一本

また一晩待って、漬かったカリカリ梅を食べ比べてみました。

醤油バージョンは、少し硬さを失って、表面がゴムのように弾力が出てしまいましたが、歯ごたえは特に変わらずシャリシャリ。味が濃くなってかすかに醤油の風味。

しそ梅バージョンはパリパリに硬いまま、シャリシャリ良い感じです。

両方に言えますが、やはり塩抜きで水を吸って膨らんだ梅に、味は簡単には染み込まないようで、それほど味の変化は感じられません。
まだ塩味は残ってますが、それでも最初の塩っぱ過ぎる味に比べれば改善できてます。



で、また思いついたのが、塩抜きと味付けを同時に行う方法。

呼び塩で1~1.5%の塩を入れる代わりに、同じ塩分量の醤油で代替したらどうかなと。

そこで適当なレシピで塩抜きしつつ戻してみます。

醤油50cc/リンゴ酢100cc/水300cc。
これで醤油の塩分15%として、1.6%の塩分量となります。

24時間後、いい感じに味も付いてふくふく、カリカリ! 動画を撮ったので載せておきます。






※水で戻したカリカリ梅に保存性は無いので、冷蔵庫保存で数日のうちに食べ切ること。


まとめを公開!



まだまだ実験は続けたいけど、そうするといつまで経っても記事は書けません。
甘みを足したりとか、もっと味を追求したいところですが‥。

どこかで止めて、今年の梅シーズンの前に、記事の公開を間に合わせないと(汗)!
※沖縄では4月半ばに青梅が出回ります


というわけで、中途ですが内容を公開します。

卵のカラやカルシウム錠剤を、予めお酢に溶かして準備しておくことで、大粒カリカリ梅が誰でも簡単に作れる方法が分かりました。

そして保存の効くしょっぱいカリカリ梅を、味を付けながら塩抜きして、ふくふくカリカリの、おやつのような味わいにする糸口も発見できました。


まとめます。

大粒のカリカリ梅を作る方法。
1,酢に卵のカラやカルシウム錠剤を溶かした溶液を事前に用意しておく。
2,新鮮な大粒の青梅に上記1と、塩を10%になるように計って漬ける。 
3,一ヶ月、冷蔵庫で保存したら完成! 冷蔵で1年程度は保存可能。
4,塩っぱいカリカリ梅は水で塩抜きができる。味付けの可能性も有り



さて、この記事を読んだ方は、家庭でのカリカリ梅作りに、いろんな可能性が有ることに気づいたのではないでしょうか?

ぜひ、自分なりの味付けのカリカリ梅を作ってみてください!

美味しいレシピができたら、ぜひコメント欄に書き込みを。

よろしくー!





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