てぃーだブログ › 作る人 (つくるんちゅ)日記 › 加工方法 › アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作



2009年06月23日

アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作

アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作

工作をしていると、金属の板を自由に曲げられたら、と思う事が良くある。

今回、PCケース2種類を製作する必要があって、いろいろ調べていたら、ベンダーマシン(金属折曲機)を自作している人のサイトをいくつか見つけた。
万力を活用したり、溶接で治具を作ってしまったり、器用な人はいろいろ考えるものだ。

お金があれば、1.7万円くらいから市販のベンダーマシンは売られている。
でも、僕みたいな素人は、時々しか機械は必要ないので、ちょっともったいない。
というか、そんなお金があったら、自分に投資して工作のスキルを上げた方が、将来楽しいなと思っちゃうんだ。

で、情報を集めて、アルミ板を曲げるためのベンダーマシンを自作してみた。

何度か試行錯誤したので、予算は5千円くらいかかったけど、得たノウハウは大きい。
以下、ベンダーマシン製作のレポートです。

アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作

僕は一時期、油圧プレスでのパーツ作りにチャレンジした事があって(いろいろ金属で型を作って実験したけど、製品レベルには行かなかった)、素人ながら金属を圧力で加工する難しさはカジッたつもり。
ベンダーマシンも「型」の精密さと、組み合わせの精度が重要だと思っていた。

でも、発見したサイトでは、木材をボルトで締め上げてアルミを曲げている。(えっ? それでいいの?)
型にあたる部分は、真鍮の丸棒を利用していた。
なるほど、丸棒を使えば「型」の表面にアールを付けたり、鏡面加工する必要は無いな。

がしかし、オリジナル(最初にこの技を公開した人)のホームページがすでに無くなっていて、どのようなノウハウ&クオリティだったのかが、判らない。
ネットでよくある、失われたテクノロジーだ。

車輪の再発見のようだけど、僕なりに考えて、使い物になる程度のベンダーマシンを再構築してみよう。


アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作
残っている記事を参考に、最初に作ったのは2×4の木材を利用した1号機。30センチまで対応予定の設計。

オス型はL字のアングル(25mm×25mm)。1mを30センチでカット。
メス型もL字アングルを2×4材に埋め込んで補強した上に、棚受け用の金具にステンレスの丸棒(直径4mm)を収めた構造。

この金具は、沖縄のホームセンター3社(メイクマン、サクモト、カネヒデ)全てで売ってるので、ポピュラーなのかなと思う。内幅が13.5mmで、板厚0.8mm。固定は両面テープだ。
(製品名:ステンレス支柱 輸入販売元:HIGAKI http://www.higakihonsya.co.jp

試してみると1mm厚のアルミ板を、幅10センチくらいまでなら簡単に曲げられる。
ただ、今回の条件では、1.5mm厚のアルミ板を23センチ幅くらいで10数回は曲げる必要がある。問題は耐久性だ。

アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作意外と、行けるかな、と思ったのだけど、締め上げ用のボルトが木にめり込んで、内部でバカネジ(くるくる回ってしまう)になって失敗。
次に、座金を付けて再チャレンジするも、今度はセンターがずれて(ハの字に曲がって)はじけそうだったので中止。

木材では厳しいな。


アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作次は鉄の角パイプ(25mm×40mm)を試してみる。亜鉛ドブ漬けの錆びにくい素材だ。

3メートルで1,580円。ベンダーマシンには、せいぜい一台で70センチくらいしか使わないので、かなり材料が無駄。
なので、2号機が失敗した時用に、更に高強度の3号機用パーツを作っておく。(組み立てると日の字断面になる予定)負けるもんか!

メイクマン(沖縄のホームセンター)で30分ほど、工作機械を借りて、パーツを作り、家に帰って組み立て。


アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作角パイプにL字アングルやメス型を取り付け、でき上がったら、1.5mm、23センチ幅のアルミ板の曲げ加工に、再チャレンジ。

やはり、まだ強度が足りない。ベンダーマシン側の角パイプがボルトに締められて歪んで行く…。
座金を2重にしても、まだ歪む。アルミ板のくせに、どんだけ堅いんだよ!

すでに相当な力を加えていて、もし手が滑ったなら、アルミ板で手首を切るか、治具で指を潰すかってくらいの危険な力でスパナを回しているのに、ダメだ…(ホント、気を抜いたらヤバイです)。


ただ、僕は気がついた。

この状態で、アルミ板を手のひらでグイっと押すと、普段より簡単に曲がってしまう事を。
それも、ベンダーマシンで挟んでいる場所を軸に、簡単に折れていく。

そう、アルミ板が曲がり始めた時点で、素材の強度としては「降伏」した状態なんだ。

これに気がついてから、作業は簡単に進められた。

アルミ板がある程度まで(10~20度くらい)曲がり始めたら、その時点で好きな角度まで手のひらで板を押して、曲げてしまえばいい。ベンダーマシンで挟んだ場所が一番弱い箇所で、そこに力が集中する。これって、体験しないと得られなかったノウハウだ。(結局、2号機で実用化できたじゃん)

アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作
で、完成したのが、この写真。

板を90度に曲げただけだと、なんだか、ちゃっちいので、45度づつ2回に分けて曲げている。
いいね。この金属感。

自作だとなおさら、見ていて飽きない。

で、泡盛を飲みながら、今日も酒ウマ状態だ。

アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作

忘れてたので、後から追加。

ベンダーマシンのアップを掲載しておきます。
アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作
左:メス型。棚受け用金具に、直径4mmのステンレス棒を収めたモノ。共に両面テープで取り付けただけ。
右:オス型。L字アングルを左右の高さ4mmずらしてタッピングスクリューで取り付け。

※注:このマシンは簡易的な物で、精度は高くはありません。(中央と両端部の曲げ角度に差がある等、後から手直し必要です)参考に工作される方は、中央部をいかに圧縮するか工夫してみてください。


アルミ板を曲げる ベンダーマシンの制作曲げたアルミ板で作ったPCケース。

ネットブックをサーバー化 → 「ネットサーバ」- その1





同じカテゴリー(加工方法)の記事



この記事へのトラックバック
いよいよアルミ板を折り曲げる作業なんだけど、
ビーバートザンで鉄製の長くて重い板を購入してきた。
これで曲げたいところを挟み、テコ...
Mint Project - Liquid Cooling PC - Chapter12 -【SlowLife】at 2009年10月04日 19:45
この記事へのコメント
ご無沙汰してます

はるブログの❝はる❞です(。◔∀◔)へへへ♪

相変わらず凄いですね~

IGUさんに出来ない事はないでしょうね
(羨ましいです)

時間の使い方だったり要領のよさ
器用な指先
多くの知識・・・

私にも分けて下さい(笑)
Posted by たるはるたるはる at 2009年06月24日 16:30
こんちは。

久しぶりに行ったら、たるはるに改名? されてたんですね。

今後ともよろしくー。
Posted by IGUIGU at 2009年06月25日 11:38
こんばんは。

なんでも作るんですね。ブログ見てて楽しいし、為にもなります。
まさに「つくるんちゅ」ですね。

またお邪魔します。

ちなみに、自分もフルマラソン4回完走しましたよ(笑)。那覇と沖縄2回づつ。
Posted by NAO工房NAO工房 at 2009年06月29日 22:31
プロの方から、そんな言葉を頂くと、嬉しいです。

ところで、NAO工房ブログのTIG溶接見ました。美しい仕上がりですねー。
さ・す・が!

これからも、『技』を見せてくださいね。
Posted by IGUIGU at 2009年06月30日 13:15
おはようございます。

アルミ板の曲げ方をずっと考えていたのですが、

なるほど、参考にさせて頂きます。
Posted by MintChocoChip at 2009年09月13日 08:40
他のブログで指摘があったのですが、オス型の刃の先端を尖らせると曲がりやすいようです。

僕も、次回は改良版を試してみたいと思います。また、報告しますね。
Posted by IGUIGU at 2009年09月13日 11:14
工具作っちゃうとはすごいですね。

メイクマンで電動ジグソーかボッシュの電動ノコギリ購入予定ですが、工作室とかで試し切り出来るならやってみたいです。振動とか切れ味とか納得して購入したいので。ヒントをありがとうございます。
Posted by ta-isa at 2009年09月17日 18:18
ta-isa さん、カヌーのプロフィール画像、素敵ですねー。

メイクマンは、時間や担当によると思うけど、意外と工作室の工具なら使わせてくれます。(僕は時々、ボール盤やドリル、バイス等を借りたりしてます)

「こんな工作をしたいけど、家では騒音で工具が使えない」とか、「こんな工作はどんなしたら出来るの? 」と、素直に相談すると、いろいろ親身になってくれます。
なので、僕は工程を知ってても相談します。人それぞれの知識や経験があって、意外な発見やサジェスチョンがありますよー。

工具の件、まずは相談してみたら、いかがでしょう。
Posted by IGUIGU at 2009年09月17日 21:41
ありがとうございます。
板木の廃材はかなりの数を頂けたんですが硬くて電動工具なしには切れそうにありません。

メイクマンにこんな親切な面があるならCMとかでもっとアピールしてもいいと思います。
Posted by ta-isata-isa at 2009年09月17日 22:10
はじめまして。
”アルミ板 曲げる”で辿り着いたものです。

文中にある
>オリジナル(最初にこの技を公開した人)のホームページがすでに無くなっていて、どのようなノウハウ&クオリティだったのかが、判らない。

恐らくRINさん(林さん)だったかな?の事だと思います。
製作者の知り合いだったか、アイデアを頂いてそれを製品化して販売する関係上、製作方法がNETにあるのでは不味かったのでしょう、サイト自体は暫くありましたが当該記事は削除されNET上のキャッシュ自体も残っていませんね。

いつもながらDIY内容には敬服いたします。
世代的にも然程違いはないのに、行動力/発想力は素晴らしいと思います。

BLOG 楽しみにしています。
Posted by oshow at 2018年07月21日 00:24
はじめまして! アルミ板(幅10㎝程度)加工のためのベンダーを探していますが市販品(エンジニア社のポケットベンダーTV-40)では幅が足りず、ベンダー自作を参考にさせてもらいたいと探していて、こちらに辿り着きました。
作る人の1号機でも十分なので、記事を参考にさせてもらいましたが、恥ずかしながら1号機の写真や説明(オス型やメス型の部品や構造など)を読んでも、どのように作っているのか、またどのように使うのかが理解できません。
2枚目の写真は上側がオス型、下側がメス型だと思いますが、オス型はL字金具を背中合わせにしているのでしょうか? また、下側のメス型は、3枚目の写真の部品(ステンレス支柱とステンレス丸棒)を、L字アングルを2×4材に埋め込んで補強したものの上に取り付けて状態を表しているのでしょうか?
これらを使って、アルミ板をどこに挟んで曲げるのか見当が付きません。
分からない事ばかりで、申し訳ありませんが、可能な範囲で教えていただけないでしょうか。 よろしくお願いします。
Posted by kirichan at 2019年05月06日 14:34
kirichanさん、だいたいご推察の通りです。

L字金具を背中合わせにしているのは、お互いをボルトで止めて、圧をかけた時に倒れないためです。適当な金具を片側に入れて、高さを5ミリほどズラしています。

3枚目の写真の部品(ステンレス支柱とステンレス丸棒)を、L字アングルを2×4材に埋め込んで補強したものの上に取り付け
はい。材木にノコで溝を切って、L字アングルを埋め込んでベースにしました。
その上に「コ」の字断面の金具の中にステン丸棒を2つ(隙間を開けて)並べてます。

オス型のL字金具が、ステン丸棒の間に押し入る構造で、その隙間でアルミを曲げます。

下の方の、ベンダーマシンのアップを見て考えて見て下さい。
僕から説明できるのは以上です。

頑張って作って下さい!
Posted by IGUIGU at 2019年05月06日 18:47
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

※記事内容に言及無いコメントは、コメントスパムと判断して削除する場合があります。