身近なトイレ洗剤で、簡単に金属をメッキできてしまう「サンポールメッキ」。
作業レポートに入る前に、廃液処理の事を書いておきます。
1,
サンポールメッキの準備/予備実験
⇒ 2,
廃液処理についての考察
3,
銅めっき編
4,
亜鉛めっき編
5,
錫(スズ)めっき編
6,ニッケルめっき編
7,サンポールメッキのまとめ
古くから、金属廃液による公害・その被害は、何度も問題になっています。
今回のサンポールメッキも、廃液は金属を含むので、そのまま捨てることは犯罪かも知れません。
環境基準値以下に薄めて流せば良いとのウワサも有りますが、ここは沖縄。
この島が好きで住んでいる自分にとって、環境問題は看過(かんか)できないので、ちょっと調べてみました。
でも、いくらググっても、メッキ廃液を処理してくれる業者が見つかりません。
大きな工場ならともかく、100ccとかですし‥。
自分で解決しないと‥。
最初は、めっき液中に溶けている金属を、出来るだけ取り除いて、薄めて廃液を捨てようと考えました。
そこで、プラス電極に、金属を繋がずに、炭素棒(乾電池のプラス電極棒)を使って実験。
こうすると、残った液中の金属が、マイナスの金属にくっついて(メッキ)、時間が立てば液中から金属が無くなるのでは?
実験すると、なんか変です。
プラスの炭素棒から、すごい勢いで気泡が発生します!
嫌な予感がするので、いったん実験を止めて、ネットで調べてみました。
‥結果はなんと、
塩素ガスが発生していましたっ!!
※注:水に溶けやすいようですが、いわゆる毒ガスです。
※プラス:塩素ガス / マイナス:水素ガス
気づいて、良かった‥。
‥通常のサンポールメッキでは、プラス極からは、僅かなガスしか発生しません。
でも念のため、作業は通気性の良い場所で行ったほうが良いです
以降、実験の場所は、換気扇のある部屋の、洗濯機の上で行うことにしました。
このシリーズの写真。白い背景は、全てこの洗濯機上です(笑)。
さて、電気分解が危険となると‥。 次に思いついたのが、中和法。
ふと昔、電子回路のプリント基板を作った事を思い出しました。
たしか、銅の溶けたエッチング廃液を、薬品で中和して、セメントで固めたっけ。
⇒
ポジ感光基板 制作マニュアル
調べてみると、トイレ洗剤の成分、
塩酸を中和するには、重曹が良さそうです。
化学式で書くと、
NaHCO3+HCl→NaCl+H2O+CO2
NaHCO3(重曹)+ HCl(塩酸)= NaCl+H2O+CO2(塩・水・二酸化炭素)
※このへんの話は、「重曹 塩酸 中和」で検索すると、いろいろな意見が見れます。
たまたま(昔の仕事の絡みで)、PH試験紙を持っていたので、確認してみます。
めっき液は、サンポールの希塩酸9.5%の5倍希釈なので、濃度は2%程度でしょうか。
▲
左:メッキ液のPHは、約1程度。 / 右:メッキ廃液に、重曹を添加。
処分する60ccの液に、重曹を1g程度まで、少しづつ加えて行きます。
すぐに泡が立ちますが、特に温度は上がりません。
▲
左:重曹を加えると、泡が発生。 溢れそうなのでコップを変えてます。 / 右:中和後のPHは、6以上。
結果、ほぼ中性か、アルカリ寄りに変化しました。
この状態で、セメントに混ぜて、撹拌・放置。
翌日には、カチンカチンに固まっていました。
▲
左:重曹と、セメント400g 両方共、100均ダイソー。 / 右:セメントに、中和したメッキ廃液を注入。
この廃液セメント。
とりあえず保管して、最終的には自分の土地に埋めるか、どうするか‥。
問題なければ、燃えないゴミで捨てます。
(詳しい方がいたら、ご意見下さいね)
少し歯切れが悪いですが、このネタは結論を出さず、皆さんの知恵を借りたいと思います。
こうした方が良い。 ‥等の建設的な意見をお持ちの方は、是非コメントをお願いします。
(根拠の無いもの、単に自分の正義のために、人を攻撃する内容の場合、削除させて頂く場合も有ります)
PS:サンポールメッキは、工作のネタとして、とても興味深いテーマです。
特にバイク好きにとっては、実用的な手法に成り得ます。
願わくば、誰もが失敗なく作業できて、廃液についても問題にならない手法が確立できたら。
そう思い、この記事は敢えて問題提起的な内容にしました。